九州旅客鉄道株式会社様

多言語翻訳システムにより、迅速かつ正確な情報提供と業務効率化に成功

 JR九州様では、訪日外国人のお客さまへ安心・快適に列車を利用していただく取組みを進めています。特に事故や災害で列車のダイヤが乱れた際の多言語による運行情報の発信には課題があり、対策に力を入れてきました。
 2019年5月にこちらの「多言語翻訳システム」が導入いただき、Twitterで活用いただいたことで迅速かつ正確な運行情報の提供ができ、スタッフの業務効率も大幅に向上しました。導入から半年を経過した現在、その効果や今後の展望について、鉄道事業本部営業部海外営業課課長代理の溝田さんにお話を伺いました。

導入の背景

 近年急増する訪日外国人のお客さまへの対応は非常に重要です。2019年はラグビーW杯、2020年には東京オリンピック・パラリンピックも控えており、九州へ訪れる海外からのお客さまも増えることが予想されます。安心・快適に鉄道をご利用いただく環境を整えることは、旅行の満足度を高め、九州をリピート先に選んでいただくことにもつながります。

 そのため、JR九州では、ホームページ上やサイネージなどで情報提供の多言語化に取り組んでおり、2019年5月から多言語によるTwitterでの運行情報の配信を開始しました。 多言語での運行情報の提供はこれまで、大規模な事故や災害に限り、運行管理部(指令)からくる日本語の情報を海外営業課のスタッフが人力で翻訳し、上長の確認後、発信していました。事故や災害はいつ発生するかわからないため、土日祝日や年末年始なども交代で出勤し、情報発信が必要な場合は昼夜関係なく対応する必要がありました。

 そこで、日本語の運行情報を自動的に多言語(英・中・韓)に翻訳するシステムの検討を始めました。
当初はGoogle翻訳などを利用して完全自動化を目指したのですが、翻訳精度に不安が残る言語もあり、決められたフレーズを辞書登録して翻訳する方式に切り替えました。実際、日本語の運行情報も基本は定型文化されており、この方法によれば、誤訳が防止できる(=誤案内がなくなる)ため、安心して情報発信ができると考えました。

Twitterでの運行情報発信(日・英・中・韓)。これらは自動で翻訳・ツイートされる。

導入のきっかけ

 1つ目は、精度です。
いくつかの会社から提案を受けましたが、どの仕組みも自動翻訳を基本としていて、100%の精度ではありませんでした。
Will Smartさんは「自動翻訳だとJR九州さんの求める精度は無理です」と断ったうえで、現実的な提案をいただくことができたので、かえって信頼できました。

 2つ目は、コストです。
年度途中に発生した案件でもあり、限られた予算の中で、当社の都合に合わせたシステム設計にしていただいたこともあり、想定以上に安価に導入することができました。

導入効果

 業務を大幅に効率化ができました。導入前までは、休日も交代で出勤し異常時は昼夜問わず対応が必要でした。そのような状況を解消できたことが非常に大きいです。翻訳作業に大きなリソースを割かざるを得ない状況が変わったことで、別のクリエイティブな業務にリソースを充てることができるようになりました。

 誤訳がない点も大きく評価しています。誤訳が発生するとお客さまに多大なご迷惑をおかけしてしまいます。運用を開始した当初はハラハラしながら見守っていましたが、半年経ったいまでもお客さまに誤解を与える誤訳は発生していません。安心して運用できるので、非常に助かっています。

 また、現場で働く駅係員からも反響がありました。多言語対応のサイネージを配置している駅は限られていますし、多くの駅では外国語スキルを持つ駅員もいないため、外国人のお客さまの問合せ対応は大きな課題でしたが、いまではTwitterをご案内すればスムーズに必要な情報提供ができるので、非常に助かっていると聞いております。

 導入の結果、Twitterで多言語の情報提供を行う体制を構築できました。これまで日本人のお客さまが当たり前に得られていた情報を、外国人のお客さまにも迅速かつ正確な情報が提供されることが、皆様に安心して鉄道をご利用いただけるポイントになると考えています。

今後の展望

 2020年には東京オリンピック・パラリンピックもある中で、JR九州としては今後も外国人のお客さまの鉄道利用を増やしていかなければなりません。そのためには、より安心・快適な環境を整備していくことが必要です。

 また、Twitterには1ツイートあたりの文字数制限があります。日本語と同じ情報を多言語に翻訳した場合、日本語より文字数が多くなる場合があるため、現在は重要な情報を絞り込み配信していますが、今後は情報量を変えずに配信できる方法が課題として残っているので解決策を模索しています。他にも、国・地域によって普及しているSNSが異なるため、Twitter以外のSNSでも情報提供することでサービスアップにつなげることも考えています。

 お客さまにとってなにが必要か、現場の駅員はなにがあれば効率的に業務ができるかなどをしっかり検討して、仕組みづくりを進めていきたいと考えています。

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