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ニュースリリース

2025年社長年頭所感「第二創業の気概と事業指針の継続性」

2025.01.06

株式会社Will Smart 代表取締役社長
石井 康弘

はじめに

皆様、あけましておめでとうございます。
2025年、当社は2012年12月12日の創業から13年目を迎えました。

本年の干支は乙巴(きのとみ)です。乙は草木の幼芽が伸長せず屈曲している状態を、巳は今まで冬眠していた蛇が春になって地表に這い出す姿を表します。つまり、今までの努力や取組をもとに大きく生まれ変わる変化の年と言い表すことができます。

昨年、当社は上場という大きな環境変化があり、組織も新陳代謝が進みました。事業においては、この数年間の成長を支えていただいた取引分野への依存度を小さくし、より多面的な取引構造を構築するために、公共団体様との取引や事業および販売面でのパートナーシップの再構築、新規自社サービス開発などに積極的に取り組んできました。これらの取り組みの成果が本年から段階的に現れてくると考えています。

他国のデジタル活用状況とモビリティサービスの多様化

私は仕事柄、他国におけるデジタルの活用状況やモビリティ関連のサービスの利用体験などについて意識的に学ぶようにしています。

直近の訪問エリアは、東南アジア、中央アジア、東アジアの国々です。それぞれ経済成長のタイミングが異なりますが、各国に共通するのはモバイル端末とモバイルネットワークの社会に広く浸透していることです。秋に訪れた中央アジアの国(これから伸びていく過程にある国)においてもスマホが当たり前に使えます。
この15年くらいで世界は激変しました。その中心はやはりモバイルだと、海外の国々を訪れるたび実感します。

海外からの旅行者にとってモバイル社会の進化は大変便利で、ほとんどすべての国で、現地の方に助けを求めることなくスマホひとつで移動が自己完結できます。また、様々なモビリティサービスの利用方法や運行情報なども簡単に入手できます。

韓国に行った際にはローカルなバスに乗りました。これまで何度も訪問した国でしたが、バスはローカルの地名やハングル表記が主で、旅行者には手強くなかなか乗れませんでした。しかし、コロナ禍後にソウル市内のバスはオープンデータ化され、Google Mapで検索可能になりました。リアルタイムの運行情報もあり、バス待ちもストレスフリーです。

また、シンガポールではVisaやMastercardなどのクレジットカードがあれば地下鉄やバスに簡単に乗れます。現金もローカル交通パスも不要です。
ライドシェアサービスはどこの国でも使えます。ただ、厳密にいうと国によってタクシー配車とプライベートハイヤー(シンガポールではGrabで呼べる各車にドライバーのライセンスが掲示されています)とが組み合わさっていたり、タクシー配車の色が濃かったりと実態は様々です。理由は日本同様タクシー業界との兼ね合いの問題の程度によるものです。

加えて、旅行者には利用しづらいですが、車をはじめとしたシェアリングモビリティサービスも沢山見ることができます。台湾では、電動バイクのシェアリングが圧倒的な存在感を出しています。ヘルメットもシェアリングなので、利用者は衛生面を考慮して使い捨てのヘアキャップを使っています。台湾の暑さを考えるととても理にかなった方法ですね。 いずれにしても、海外のモビリティサービスはモバイルネットワークと連携したことで、情報流通性やキャッシュレス化、移動の選択肢の多様化が飛躍的に進んでいると感じざるを得ません。

公共交通の課題解決におけるデジタル技術の可能性

昨年、国土交通省は「交通空白」解消・官民連携プラットフォームを立ち上げ、当社も参加しております。

また、国土交通省の交通政策分野の中期経営計画に該当する「第3次交通政策基本計画」の作成にあたって、専門家の意見ヒアリングを行う小委員会にてデジタルの利活用をテーマに発言をする機会も頂戴しました。

私は、デジタル活用の本質は圧倒的なコストダウンと生産性の向上、そして事業者による一般利用者への付加価値提供だと考えています。日本では交通空白の問題が深刻ですが、これを機に地方でモバイルネットワークを最大限活用したローコストなモビリティサービスが生まれることを切に願っています。

都市部の公共交通分野にも課題があります。多くの顧客企業からデジタル維持コストが高く、システム(データ含む)が少々クローズドだという話を聞きますが、適正な価格でオープンで相互に連携できるシステムの構築は可能だと考えています。さらに、システムを構築することで、人手を極力省いたユーザーセントリックで自己完結型のサービスに転換することが可能だと考えられます。 日本の公共交通は安心安全で高精度ですが、デジタル技術の可能性は極めて大きく、汎用技術へ置き換えてもその価値を維持しつつ、コストを抑えることができると考えます。
例えば、モバイル中心の情報配信で案内人員配置の削減や案内表示のモバイル向け情報の転用が可能です。IoT技術を活用すれば経済的な設備維持や安全性の確保が実現できます。複数のモビリティモード間のデータ連携で、待ち時間の短縮やトラブル発生時の情報発信、代替輸送案内が可能です。

結び

最後になりますが、本年は当社にとって次のステージの始まりとなる大事な年になります。
これまで以上にデジタル技術を最大限活用しながらコストパフォーマンスの高いシステム構築を実現すると共に、公共交通やモビリティの維持・発展に向けてお客様との共創に邁進していく所存です。

本年も当社をよろしくお願いいたします。

※第4回持続可能な社会の実現に向けた交通政策検討小委員会
議事次第や当日の資料等は下記の国土交通省ホームページよりご覧いただけます。
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000185.html