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AI・データサイエンスサービス

持続可能な公共インフラの確立を目指し交通系ICカードデータの可視化・分析システムを導入

松江市交通局様 一畑バス株式会社様

2024.09.11

松江市交通局様 一畑バス株式会社様

島根県松江市では「松江市交通局」と「一畑バス株式会社」の2つの事業者がバス事業の運営を担っています。コロナ禍による利用者数の減少のほか、運転士不足や、働き方関連法に基づく時間外労働の上限規制(いわゆる「2024年問題」)等の影響で路線や運行ダイヤの改正が急務となっていたことから、Will Smartの「交通データ統合分析サービス」を導入いただきました。

データ分析サービス導入のきっかけやサービス導入後の活用状況について松江市交通局 佐藤様と一畑バス株式会社 南場様に伺いました。

松江市のバス交通の状況

コロナ禍による利用者数の減少だけでなく、2024年問題の影響も大きい

佐藤様:コロナ禍前は行政との連携によってバスの利用促進を行っていたので一定の利用者数を確保できていましたが、コロナ禍以降は利用者数が減少したまま戻っていない状況です。

また、松江市交通局も一畑バスも運転士不足の影響で日々の運行に苦慮しています。その中で2024年4月に運転士の時間外労働の上限規制が行われたため、安全で安定した運行を継続するために減便や路線の見直しを余儀なくされました。

南場様:運転士不足により、当社も大きな影響を受けています。当社は路線バスのほか、高速バスや貸切バスを運行していますが、高速バスはコロナ禍以降、需要が回復基調にあるものの、減便運行を余儀なくされています。また、貸切バスについては受注はあるものの、運転士不足のため稼働できない状況が続いています。

導入のきっかけ

データを可視化したいが、時間や手間をかけられないというジレンマ

佐藤様:他の地方都市も同様の状況だと思いますが、私たちのようなバス事業者はほとんどが赤字事業者で厳しい経営状況にあります。それに加えて運転士不足や労働時間の規制強化などの影響も大きく、全国的に路線や運行ダイヤの見直しが行われています。

私たちも路線及びダイヤの見直しを行うために2021年の春に導入した交通系ICカードの運行データを活用する必要があったのですが、データの集計や分析を行うには相当な時間や手間がかかるため、なかなか手が付けられないというジレンマがありました。

せっかくデータがあるので、それを瞬時に可視化して分かりやすく伝えられるような手段として「データ分析サービス」の必要性を感じていました。

サービス選定の決め手

詳細なデータ分析機能やサポート体制が好印象

佐藤様:2022年のJCOMM松江大会で熊本地域におけるWill Smartのデータ分析サービスを活用したEBPM推進の取り組みを拝見したのですが、データ分析サービスを活用して表やグラフ、地図などで分かりやすく可視化されていてスムーズに分析ができるというのが印象に残っていました。

今回のサービス開発パートナーの選定はプロポーザルで行い、正直なところWill Smartのシステムは想定していた予算よりも少し費用が高かったのですが、私たちが実現したいと思っているものに一番近かったことや導入後のサポート体制が充実していることなどが最終的な決め手になりました。

佐藤様:データ分析サービスの導入にあたって打合せの際に普段聞いたことがない専門用語も多かったのですが、担当者の方が都度丁寧に教えてくださったので大きな抵抗なく進められたと思います。

南場様:実際にデータ分析サービスの稼働がスタートした後に欲しいデータが出せないという現象が起きたのですが、システム側の処理の問題なのか、オペレーション操作の問題なのか、原因を 素早く突き止めていただきました。運用中の疑問点についても相談できるのは非常に頼もしいです。

佐藤様:データ分析サービスを活用する中で、「可視化のレイアウトを変えたい」など新たな要望も出てきているのですが、保守のなかでそういった細かな要望にも都度対応いただいたことで、少しずつグレードアップしている実感を持てており、感謝しています。

データ分析サービスの活用状況

手間のかかる集計・調査業務の効率化を実現

佐藤様:路線別、系統別のほか、松江市交通局と一畑バスで導入している「共通定期」や高齢者・障碍者向け優待サービスなど様々な場面における集計作業を行っています。

▲共通定期集計表の画面イメージ。種別ごとの売上金額が一目でわかる仕様となっています。

また、データをもとに「どこのバス停から乗った乗客がどこのバス停で下車したか」や「どの決済方法を利用したか」などを分析し、路線の最適化にも役立てています。松江市交通局では2024年4月にダイヤ改正を行ったのですが、改正後の利用者の増減などを見てダイヤ改正が適正だったのか調査しています。これまでは職員をバスに乗せて状況観察を行う場合もあったのですが、そういった作業が省略できることで本来の業務に専念できています。

▲乗車地図画面では停留所ごとの乗車人数・降車人数等や系統別の利用者数を閲覧できます。

南場様:一畑バスでも報告用の乗降データを取りまとめる際にデータ分析サービスを活用できるよう準備を進めています。今までは必要なデータをひとつひとつ手作業で抽出していたのでかなりの日数がかかっていたのですが、サービス導入後は作業時間が短縮できるようになったとのことで業務効率化に期待しています。

今後の展望

持続可能なバス交通を軸に誰もが住みやすいまちへ

佐藤様:松江市では路線バスは「まちの骨格」 と位置付けているので、交通局としてもバス事業を公共インフラとしてとらえ、持続可能な運行体制を整える使命があると考えています。そのためにはデータの分析は欠かせない存在なので、バスの利用状況を分析したうえでできる限り利便性を損なわないような運行体制を松江市と共に考えていきたいと思っています。

南場様:松江市は自家用車での移動が多い地域です。今後は少子高齢化の時代ですので、高齢者の方も住みやすい街になるようにデータを活用して新たな路線を展開するなどの取り組みが出来たらと思っています。

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