モビリティシステムサービス
モビリティ×データで移動手段の多様化を目指す!
地域の移動の足を支える次世代交通サービスの挑戦
OpenStreet株式会社様 東急バス株式会社様
2025.07.09

東急バス株式会社(以下、東急バス)は、2024年6月よりOpenStreet株式会社(以下、OpenStreet)が展開するシェアモビリティプラットフォーム『HELLO MOBILITY』に運営事業者として参画。東急線沿線を中心に小型EVステーションを設置し、従来のバス路線と組み合わせた多様な移動手段を提供することで地域の利便性向上・活性化に取り組んでいます。
『HELLO MOBILITY』のカーシェア車両にはWill SmartのIoT車載デバイスが搭載され、専用アプリによる無人貸し出しや、走行データの収集・分析を実現。スマートな利用体験と効率的な運営を両立させています。
今回はOpenStreet株式会社 石塚様・大元様、東急バス株式会社 小林様にサービス導入の背景や、実際の運用で見えてきた成果、今後の展望についてお話を伺いました。

導入背景
東急バスは、東急グループの一員として長年にわたり一般路線バスや空港連絡バス、観光貸切バスなど多様なバスサービスを提供してきました。
しかし2020年、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言等の影響により、外出の自粛を求められるなど、人々の生活が大きく変化し、移動サービスを提供する同社にとっては厳しい状況となりました。
「私たちのようなバス会社や鉄道会社はお客様の移動を支えることが事業の根幹です。当時はなるべく外に出ることを控える生活スタイルだったため、バス事業を営む弊社にとっては大変厳しい状況でした。」と小林様は当時を振り返ります。
この未曽有の危機をきっかけに、同社は新たな事業の多角化を模索。バス会社としての強みを活かした新たな移動サービスとしてOpenStreetが提供するシェアモビリティプラットフォーム『HELLO MOBILITY』に着目しました。 「コロナ禍をきっかけにリモートワークの普及など、人々の生活スタイルが変化していることに加え、高齢化社会により「移動」に対するニーズが多様化しています。この社会の変化をチャンスと捉え、『HELLO MOBILITY』を通じて新たな移動価値の創出を目指しています。」と小林様は言います。
HELLO MOBILITYとは
OpenStreetが提供する『HELLO MOBILITY』は、小型EVやEVスクーターなどの次世代モビリティをシェアするプラットフォームです。
石塚様「当社はシェアサイクルプラットフォーム『HELLO CYCLING』を全国展開していますが、『HELLO MOBILITY』でも、免許が必要な4輪小型EVなど、より多様なモビリティを扱っています。最大の特長は『ワンウェイ利用』が可能な点です。自転車シェアリングと同様に、対応しているステーション間であれば好きな場所で借りて好きな場所で返せる” 乗り捨て”ができます。また、異なる運営事業者間での相互利用も可能となっています。」
石塚様「『HELLO MOBILITY』の小型EVはネットワーク事業者様に運営いただいており、それぞれの事業者様が強みを持つエリアで展開されています。東急バス様であれば、バス事業との親和性を加味して営業所の周辺で運営されています。」

サービス選定のポイント
『HELLO MOBILITY』の車両にはWill SmartのIoT車載デバイスが搭載されています。サービス選定の決め手となったのは「カーシェアリングサービスにおける豊富な提供実績」と「取得データの精度と信頼性」でした。
「『HELLO MOBILITY』は専用のアプリを通じて無人で貸し出しをしています。そのため、車両状況を遠隔で正確に確認するためのデータが不可欠です。」と大元様は強調します。
OpenStreetでは、デバイスから取得したデータを詳細に分析し、サービス改善に活用しています。「私たちはただ移動プラットフォームを提供するだけでなく、移動データを活用して、より便利で魅力的な移動体験の創出を目指しています。そのため、詳細かつ正確なデータ取得と安定稼働を重視してデバイスを選定しました。」と石塚様は述べています。
右図:車両の内部に設置された車載デバイス

車載デバイスから取得したデータの活用について
Will SmartのIoT車載デバイスから取得できるGPSデータ、車速データなどは、『HELLO MOBILITY』において様々な形で活用されています。
「利用者の移動パターンを高解像度で可視化できることが大きな強みです。」と石塚様。
「例えば、あるステーションから出発した利用者がどのような経路でスーパーや商業施設などを巡り、戻ってくるかといった詳細な行動分析が可能です。また、車速データから算出される所要時間は、『この区間は自転車シェアリングの方が適している』といった検討の判断材料としても役立っています。」
東急バス側でもこれらのデータを有効活用しています。「我々ネットワーク事業者も利用者の移動データを分析することで、地域の方の移動ニーズが可視化できるようになってきました。データをもとに、『この経路に新たなバス路線を設置すれば需要が見込める』のではないか?といった戦略的判断が可能になりました。」と小林様は語ります。
今後の展望
東急バス株式会社は、『HELLO MOBILITY』を活用してシェアモビリティサービスを運営することで「移動手段の多様化」を目指しています。
「東急バスは東急グループのまちづくりの一環として地域の交通網を支えています。東急線沿線の魅力を高め、住民の皆さまの生活をより豊かにするためには、移動の総量と質を向上させることが使命だと考えています。」と小林様。「高齢化の進行やリモートワークの普及により、大量輸送だけでなく”小さな移動”がさらに重要になっていくと思います。現在は点で配置しているシェアモビリティサービスの数を、将来的に増やしていくことで、面的な移動ネットワークを創出できたらと考えています。」
石塚様も同様のビジョンを示しています。「私たちOpenStreetも移動の総量と質の向上を目指しています。地域の活性化と住民の豊かな生活を支える手段として”移動”があると考えています。鉄道やバスといった大きな移動はこれからも私たちの生活に欠かせない社会の基盤ですが、交通事業者とのコラボレーションによって交通結節点の先にある移動が自由にできる社会の実現を目指していきます。」

OpenStreet株式会社様 東急バス株式会社様