導入事例

トップ > 導入事例 > AI・データサイエンスサービス > 八戸市 総合政策部 政策推進課

AI・データサイエンスサービス

バス路線の再編・ダイヤの最適化に向けてバス乗降データの可視化・分析システムを導入

八戸市 総合政策部 政策推進課

2024.06.19

八戸市 総合政策部 政策推進課

八戸市ではバス路線の再編や路線の維持に向けてICカードの乗降データの利活用に取り組んでいます。このたび同市においてデータをまちづくり等に活用するEBPMの推進の取り組みの一環でWill Smartの「交通データ統合分析サービス」を導入いただきました。

分析サービス導入の背景や今後の展望についてプロジェクトをご担当された八戸市 政策推進課 相模様、株式会社ケー・シー・エス 石田様にお話を伺いました。

八戸市の公共交通の状況

相模様:市内には八戸市交通部が運営する八戸市営バス(以下、市営バス)と、民間バス会社の岩手県北自動車株式会社南部支社(以下、南部バス)、十和田観光電鉄株式会社(以下、(とう)(てつ)バス)の3つがあります。

相模様:はい。2007年には市営バスと南部バスの共同運行化をスタートさせ、平日の運行本数を削減しながら輸送人員の増加を達成することができました。また、2022年からはICカードによる乗車サービスを導入し、デジタル化の推進にも取り組んでまいりました。

交通データ統合分析サービスの概要

相模様:今回のプロジェクトにおいては、将来的にデータをバス路線やダイヤの最適化へ活用することを見越して、市営バスおよび南部バスのGTFSデータ、バスロケーションデータ、運賃箱(ICカード、定期、現金など運賃の支払い全般)のデータを取込み、輸送実績を系統別、バス停別など様々な切り口で分析できるシステムとしました。

<乗車分析>
乗車分析画面ではバス停ごとの乗車・降車人数の内訳や支払い金種などをバス系統別に調べることができます。

<深掘分析(バス停)>
より詳しい情報はバス停の深掘り分析画面から閲覧することができます。
例えば、こちらの画面のようにどの時間帯にどのバス停からの乗車人数が多いのか、などを可視化することができます。

<深掘分析(系統)>
系統別の深堀分析画面では特定の系統に絞り込んで時間別のバスの利用状況やバス停ごとの乗車人数の推移などが可視化されています。

サービス開発について

相模様:これまでも赤字路線の調整といった交通施策を検討する際に乗降実態調査(OD調査)の結果やバスの運賃箱のデータの分析を行っていたのですが、移動データの取得が難しく、詳細な分析を行うのが難しい状況でした。
またICカードを導入したことでバスの利用実績データは取得できるようになったのですが、必要なデータを抽出する作業が煩雑だったため、うまく活用できていませんでした。 しかし、八戸市の人口は減少局面を迎えており、データに基づいた効果的な公共交通を確立することが急務だったことから、データ分析ができるシステムを導入することにしました。

※乗降実態調査(OD調査)
八戸圏域を運行する路線バス全路線・全便を期間中に3回(平日、土曜日、日祝日を各1回ずつ)調査。調査員が乗車し調査票により各利用者の乗車場所(Origin)・降車場所(Destination)や属性などを把握。

相模様:ダッシュボード上に必要なデータを集約させるために、どのデータをどのように表示させるかをWill Smartの開発エンジニアと何度も調整を行いました。
また、異なるバス事業者のデータを紐づけることで複数事業者を束ねたデータの可視化が出来るようにしていただいたのですが、GTFSのデータ形式がバス事業者によって異なっていたため、ICカードの利用明細がそれぞれどの便のものなのかを特定するのに苦労しました。

石田様:GTFSとICカードの利用明細の紐づけについては、それぞれの事業者のバス停コードと系統コードの対照表を作り、それをWill Smartの開発エンジニアの方が分析システムに反映するという方法で対応いただきました。
また、GTFSとICカードの利用明細だけではどの便のデータなのか特定ができない場合もあったのですが、バスロケーションシステムのデータも組み合わせることでそれぞれのバス事業者の状況に合わせて便の特定を実現してくださったのがありがたかったです。

Will Smartを選んだ決め手

相模様:石田さんから熊本県で行われている交通データを活用したバス共同経営の取り組みを紹介されたことでWill Smartを知りました。私たちも同じようにデータの加工や集計に時間をかけられないという課題を抱えていたので、同じ取り組みが出来たら、と思いました。

石田様:私がWill Smartを知ったのは2022年にWill SmartがJCOMM賞を受賞された時です。JCOMM賞の展示ブースで熊本県のプロジェクトで使われている交通データ統合分析サービスのデモを操作したのですが、通常ビッグデータを可視化すると重くなりがちなシステムの操作性が良かったのが印象的でした。

相模様:BIツールのtableauを活用したシステムであり、汎用性が高そうだと感じたのが決め手となりました。今後データ分析を行っていく中で、バス以外のデータを追加したい場面も出てくると思うので、パッケージのシステムと違ってシステムを作り直さなくても新たにデータを追加することができるのは魅力的でした。

相模様:プロジェクトが始まった当時、正直なところデータを活用してどんなことができるのか理解しきれていませんでした。
なので、「データを使ってこういうことがしたい」という要望をざっくりとしかお伝え出来なかったのですが、開発エンジニアの方から「こういうデータを組み合わせるとこんな分析ができますよ」という提案をいただけたのが良かったです。

今後の展望

相模様:八戸市内のバス事業者は各社それぞれ経営課題を抱えているので、まずはこのデータ分析システムを使いこなせる人材をどんどん増やしていき、ダイヤ改正や路線の最適化などにデータを適切に活用できるような仕組みを作っていきたいと考えています。
また、今回のプロジェクトで市内に設置しているAIカメラのデータをシステム上で見られるようになったので、バスだけでなく八戸市全体のまちづくりにおけるデータ活用にも取り組んでいきたいです。

八戸市 総合政策部 政策推進課

八戸市 総合政策部 政策推進課

所在地

青森県八戸市内丸一丁目1番1号

事業内容

総合計画の策定、構造改革特区、三圏域連携、連携中枢都市圏、広域連携、総合的な交通体系に関すること