大和ライフネクスト株式会社様

居住者専用カーシェアで、分譲マンションの空き駐車場の課題解決に貢献

 大和ライフネクスト株式会社は、27万世帯が暮らす分譲マンションを管理する大手総合不動産管理会社です。同社は高齢化に伴う免許返納者の増加や、マイカーを持たない世帯の増加などの影響により、管理している分譲マンションの約3割で駐車場の空き率増加に課題を抱えていました。そこで、居住者専用のマンション特化型カーシェアサービスを新たに開始し、居住者の利便性向上と同時に空き駐車場の課題解決に取り組んでいます。

 サービス開発の経緯についてカーシェアプロジェクトの担当者の方にお話を伺いました。

サービスの概要

Q.まずはマンション居住者専用カーシェアについて教えてください。

”日常的にふらりと使える定額(Flat)のカーシェア”ということで「ふらっとカーシェア」と名付けました。ガソリン代や保険料、駐車場代などの経費も含めて月額19,800円(※)の定額サービスで、平日は使い放題、土日祝日は月に72時間利用することができます。
※マンションごとの諸条件により、料金設定が異なる場合あり

Q.従量課金型のカーシェアとはどんな違いがありますか?

月額の費用が定額であることと、マンションの居住者かつ特定の5世帯が1台の車をシェアし、家族単位でご利用いただけるという点が特に大きな違いです。 不特定多数の人が利用できるカーシェアサービスは、人気のステーションだと使いたいときにいつも予約が埋まっているというケースが多いのですが、ふらっとカーシェアは特定の世帯に利用世帯を限定することで、使いたいときに使いやすいカーシェアサービスを実現しています。

背景

Q.「不動産×モビリティ」の取り組みを始めたきっかけを教えてください。

大和ライフネクストに入社して間もないころ、様々なマンションの理事会に参加する機会があったのですが、空き駐車場に問題を抱えている管理組合が多かったのがとても印象に残っていました。

都市部を中心に自家用車の保有率が低下していることや、マンション居住者の高齢化が進み免許返納者が増加しているのに伴って、集合住宅における駐車場の空き率は増加傾向にあります。この傾向が続くと、管理組合の収入源である駐車場収入が減少し、社会問題になっている分譲マンションの積立金不足にも直結してしまいます。

それに対して管理会社としてソリューションをもつことに意義があると考え、3年ほど前から「不動産×モビリティ」の観点でプロジェクトを立ち上げ、取り組みを始めました。

Q.これまでにどんな取り組みをしてきたのでしょうか?

当初は従量課金型の駐車場シェアリングを始めたのですが、不特定多数の人が利用するサービスだったのでセキュリティの面などから難色を示される管理組合が多く、導入のハードルが高いと感じました。そこで、審査をクリアした人だけが利用できる月極の駐車場サブリースに切り替えたところ、徐々にマンションへの導入が進んでいきました。

そして駐車場サブリースが軌道に乗ってきたところで、居住者の利便性の向上を目指し、並行して実証実験を進めてきた居住者限定カーシェアサービスの事業化に向け、取り組みを加速しました。

Q.カーシェアサービスの事業化に向けて実証実験にも取り組んでいたとお聞きしました。

はい。2021年秋から約1年半かけて実証実験を実施しました。カーシェアの仕組みは現在のふらっとカーシェアとほとんど同じですが、無償の予約システムやアナログのキーボックスなど既存のサービスを組み合わせながら、アナログで運用を行っていました。

Q.実証実験ではどんな項目を検証したのでしょうか?

居住者限定の定額カーシェアサービスのペルソナ(車を日常的に使いたい子育て世代)とはズレていないか、1台あたり何世帯が適切か、適切な金額設定、カーシェアを行うのに適切なエリアなどを検証していきました。

特に、休日のお出かけだけでなく平日の日常使いとしても積極的にご利用いただけるように、平日は使い放題とするなどルールづくりにこだわりました。

Will Smartを選んだ決め手

Q.Will Smartとの出会いについて教えてください。

Will Smartさんには実証実験を始める前に一度カーシェアリングシステムの紹介をしていただく機会があり、その時に非常に良いサービスだなと感じました。

実証実験後、カーシェアの事業化が決まったタイミングで改めて我々のカーシェアの構想をお話ししたところ、営業担当の方とこれからの世の中に必要な新しいモビリティサービスについて熱く語り合うことができ、ぜひ一緒に取り組んでいきたいと思いました。

Q.Will Smartに任せてみようと思ったのにはどんな決め手があったのでしょうか?

複数社の開発内容や金額を比較したところ、オーダーメイドでの開発は費用が高額で予算と見合わず、パッケージのシステムでは欲しい機能が付帯されていないという状況でした。

その中でWill Smartさんの提案は同社のカーシェアリングシステムをベースにして開発工数や費用を抑えながら、我々のマンション特化型カーシェアの構想に合わせてカスタマイズしていくというものでした。パッケージのシステムをそのまま使うのではなく、ニーズに合わせて柔軟に設計いただけるところが一番の決め手になりました。

Q.プロジェクトをWill Smartと伴走してみて、どんな印象を持ちましたか?

私はシステム開発のプロジェクトに携わったことがなかったので、プロジェクト開始後は「システム上のできる・できない」と「我々が実現したいこと」のすり合わせに苦労しました。

そのような状況の中で、Will Smartさんには細かい機能の調整に根気強くご対応いただき、これまでに培った知見に基づくアドバイスを多くいただきました。そのご支援のおかげもあって7月1日のローンチを無事に迎えることができました。

導入効果

Q.ふらっとカーシェアのサービス開始後、利用者の方からはどんな反応がありましたか?

実証実験の時からカーシェアを利用していた居住者の方からは正式な事業化が決まったことに喜びの声をいただきました。

また、実証実験の時は「自分が予約した日時がわかりにくい」「予約の変更・キャンセルはメールを見返しながら対応する必要がある」など、使い勝手が悪い面があったのですが、専用のアプリができたことで車の予約から貸出、返却までの手続きをアプリで完結できるようになりました。

Q.カーシェアの運営の面においてはどんな変化がありましたか?

管理者用のシステムでは地図上で車の現在地や走行履歴を確認することができたり、今までは現地まで出向かないと確認できなかった車の状態を遠隔で見られるようになったりと、業務の効率化に繋がっています。

また、ふらっとカーシェア専用にシステムをカスタマイズしていただいたので、機能の追加など今後のアップデートにも対応できるようになりました。

カーシェアリングシステムの管理者用画面のイメージ(実際とは異なります)

今後の展望

Q.ふらっとカーシェアを通じてどんな取り組みをしていきたいですか?

まずは当社が管理を受託する分譲マンションでのふらっとカーシェア導入拡大に注力していきます。また、賃貸マンションなどの異なる形態の不動産にも合う形でサービスをカスタマイズしながら、同サービスのポテンシャルを最大化させていきたいです。

Q.今後のビジョンについて教えてください。

モビリティの観点から居住者の豊かな暮らしをつくるために、管理会社ならではの「不動産を起点にしたMaaS」を実現していきたいと考えています。

現在の不動産の価値は「立地」や「築年数」などに大きく左右されますが、不動産にカーシェアやシェアサイクルなどの複数のモビリティサービスを導入することで用途に応じて最適な移動手段を選択できるようになれば、移動の利便性を切り口に不動産価値の向上にも寄与できるのではないかと考えています。

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